【年頭所感】変化に対応するロジスティクスシステムの再構築を

 年頭所感 

変化に対応するロジスティクスシステムの再構築を

公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会

会 長  西 田 厚 聰

2015年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申しあげます。

 昨年は、欧州、アジア、中東諸国における紛争や、緊急事態といわれるほどの疫病の流行など、人類の平和や安全、安心を脅かす重要な問題が世界各地で発生し、克服しなければいけない難問が山積しました。経済においては、物資・サービスの貿易自由化・円滑化を促進するためのTPP交渉も、難問の一つであります。

 わが国経済に目を転じますと、社会保障の充実のために、17年ぶりに消費税が引き上げられました。その後の景気停滞を回避するべく、財政出動、日銀の金融緩和など、リスクを伴う政策が実施され、産業界としても、円安の流れも得つつ、努力を重ね、日本経済を、再び成長軌道に乗せなければなりません。

 多くの要素が複雑に絡み合い、先の読めない時代にあって、需要の変化に柔軟に対応し、無駄なく物資を供給するシステムの構築は、ますます重要になって参ります。公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会は、需要と供給を同期化させるロジスティクスシステムのあるべき姿を「ロジスティクスコンセプト 2020」として取りまとめ、ロジスティクスの統合管理や、グローバルサプライチェーンの効率化などの必要性を訴えております。

 当協会は、このコンセプトの実現に向けて活動を展開しておりますが、特に本年は、ロジスティクスの状況を客観的に評価するべく、グローバルな視点をも含めたロジスティクスコスト算定について実態を把握し検討を行うことを予定しております。また、ロジスティクスに関する課題解決のための情報発信・技術交流の場であるロジスティクスソリューションフェアの規模を拡充し、 本年9月に開催するとともに、物流現場改善活動の多地域での展開、業種毎の課題解決の場の設定、行政との連携によるロジスティクスの高度化支援など、新たな活動にも積極的に取り組み、当協会の活動の柱である人材育成事業とともに、企業経営における重要な課題であるロジスティクスの高度化・効率化を進めていく所存です。

 さて、京都議定書が発効してから10年が経過する本年、パリでCOP21が開催されます。ここでは、気候変動に関する新たな枠組みや削減目標量などが、発展途上国を含むすべての国の合意のもとに策定されることが期待されております。持続可能な社会の実現のために、ロジスティクス分野における取り組みは重要です。我々ロジスティクスに携わる者は、新しい目標に果敢に挑戦しなければなりません。本年が、環境問題解決においても、さらに前進できる年でありますように、願ってやみません。

 今後とも、こうした当協会の諸活動につきまして、会員の皆様をはじめ、関係各位の一層のご支援とご協力を心からお願い申しあげまして、新年のご挨拶といたします。

2015年 新春